こんにちは。ふじもと行政書士事務所の藤本絵里子です。
今回は「在留資格認定証明書」について、申請から許可までの流れと重要なポイントをお伝えします。
外国人材の雇用を検討されている企業様にとって、最初の重要な手続きとなります。
しかし在留資格認定証明書交付申請は必要書類も多く、申請までにしっかりと準備をすることが大切です。
とくに初めて外国人材を雇用する場合は、事前に流れを理解しておくことで、スムーズな許可申請ができるでしょう。
在留資格認定証明書とは
在留資格認定証明書は、日本に入国しようとする外国人について、入国管理局に対して事前に在留資格の該当性を証明してもらう書類です。
ポイント
簡単に言えばこの外国人は、この在留資格で日本に入国することが適当であると国が認めた証明書です。
この証明書があることで、以下のメリットがあります。
- 査証(ビザ)の発給がスムーズになる
- 入国審査が短縮される
- 在留資格該当性の事前確認ができる
申請が必要なケース
在留資格認定証明書の申請が必要となるのは、海外から新たに外国人を雇用する場合です。
具体的には以下のような場合です。
- 海外から新たに外国人を雇用する場合
- 現地採用した外国人を日本の本社に転勤させる場合
- 海外の大学を卒業した外国人を新卒採用する場合
- 海外在住の外国人と結婚し、配偶者として日本に呼び寄せる場合
なお、既に日本に在留している外国人の在留資格を変更する場合は、在留資格認定証明書ではなく「在留資格変更許可申請」を行います。
申請から許可までの流れ
在留資格認定証明書の申請から許可までは、一般的に以下のような流れになります。
それぞれ申請のポイントをまとめているので、申請の際の参考にしてくださいね。
Step1: 必要書類の準備(2~4週間)
- 申請書の作成
- 会社の資料収集(登記簿謄本、決算書等など)
- 外国人本人の資料収集(卒業証明書、職歴証明書等など)
- 雇用条件書、雇用契約書の作成
本人資料など現地語で作成されたものは、日本語訳を添付する必要があります。
また、雇用条件書や契約書は、本人が内容を十分に理解できるよう、現地語や英語を併用して作成することが望ましいです。
Step2: 入国管理局への申請
- 管轄の入国管理局に書類を提出
- 受理されると「受付票」が発行される
オンライン申請、または窓口に書類を持参し申請します。なお、郵送での提出はできません。
Step3: 審査期間(1~3ヶ月)
- 入管での審査
- 必要に応じて追加書類の提出要求
- 場合によっては申請人や会社への確認
入管が混んでいるときなど、申請時期により審査に時間がかかることもあります。
入社日などを考慮し、余裕をもって申請するようにしましょう。
Step4: 結果通知・証明書交付
- 許可の場合:在留資格認定証明書の交付
- 不許可の場合:不許可通知書の交付
在留資格認定証明書が発行されたら、海外にいる本人へメールもしくは郵送で速やかに転送しましょう。
なお、不許可だった場合、一度だけ入管に不許可理由を聞くことができます。
場合によっては、不許可理由を修正して再申請することも可能です。
原則、申請書類は返却されないため、必ず控えを取っておきましょう。
重要なポイントと注意点
申請に関するポイントを大きく分けて3つ解説します。
どのポイントも許可に関わる重要なことですので、しっかり理解しておきましょう。
① 申請書類の正確性
提出書類の正確性は非常に大切です。
特に、外国人本人の学歴・職歴と、日本での従事予定業務の関連性を明確に示す必要があります。
(例)「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の場合、大学での専攻と業務内容に関連性が求められます。
コンピューター工学を専攻した方がIT関連業務に従事する場合、関連性が明らかですが、経済学専攻の方が製造業の現場作業に従事するような場合は、関連性の説明が非常に難しくなります。
② 会社の安定性・継続性
雇用する会社の安定性も重要な審査ポイントと言えます。
- 事業の継続性
- 財務状況の健全性
- 適切な給与水準の設定
これらが適切に説明できる資料の準備が必要です。
事業の安定性は、外国人雇用の必要性を説明するうえでも大切です。
③ 給与・労働条件の適正性
外国人に支払う給与は、同等の業務に従事する日本人と同等以上である必要があります。
最低賃金を下回ることは当然認められませんし、同業種・同地域の平均的な水準を大きく下回る場合も審査に影響します。
かつて、外国人材を安価な労働力とみなされた時代もありましたが、それはもう過去の話です。
現在は、労働条件は非常にシビアに審査されます。
よくある失敗例と対策
学歴と業務内容の不整合
外国人を雇用する場合、日本人のように誰でもいいわけではありません。
中でも在留資格該当性は、許可の一番重要なポイントです。
学校大学での専攻と実際の業務内容に関連性がない場合、在留資格該当性がないとして不許可になることがあります。
対策
- 企業、外国人本人共に、制度の仕組みをしっかり理解する
- 採用時から在留資格を意識した職務設計を行い、必要に応じて業務内容の調整を検討する
- 業務内容を明確にし、合致する経歴を持つ外国人に絞り込んで採用活動をする
書類の不備・不足
必要書類の漏れや記載内容の不正確さにより、審査が長期化したり不許可になったりするケースがあります。
対策
- チェックリストを作成し、提出前に必ず内容確認を行う
必要書類は多岐にわたります。必ず入管のホームページで最新の情報を確認するようにしましょう。
会社情報の説明不足
新設会社や小規模企業の場合、事業の安定性・継続性について十分な説明ができず、不許可になることがあります。
対策
- 事業計画書や取引先との契約書など、事業の将来性を示す資料を丁寧に準備する
- 確定申告や決算資料で現状と今後の展望をしっかり説明する
スムーズな許可申請のためにできること
① 申請書類をきちんとそろえる
初回申請時にしっかりと完璧な書類をそろえて提出することで、書類の不備や不足による補正作業を極力少なくすることができます。
補正が多いと審査期間に影響します。
スムーズな申請のためにも、書類はしっかりとそろえてから申請しましょう。
② 事前相談の活用
在留資格は個別の事情により許可の判断がわかれるため、どのように申請をすすめるか迷うことがあるでしょう。
そのようなときは、申請前に入国管で理局の事前相談をすることができます。
申請に関するアドバイスをもらえたり、必要書類や注意点を確認できます。
入管HP:https://www.moj.go.jp/isa/index.html
③ 専門家の活用
在留資格認定証明書交付申請は、外国人本人や雇用する企業の担当者が申請することができます。
しかし実際には、書類の不備などで不許可になったり、手続きをどのように進めればいいかわからず困っている人も多いでしょう。
そのような場合は専門家の活用をおすすめします。
行政書士等の専門家に依頼することで、適切な書類作成と効率的な申請ができます。
手続きに時間を取られることなく、本来の業務に専念できるのもメリットです。
許可後の手続き
在留資格認定証明書が交付されたら、以下の手続きが必要です。
- 外国人本人への証明書送付
- 在外日本領事館での査証申請
- 日本への入国
- 住居地での住民登録
証明書を本人へ送付し、現地の日本領事館等で査証(ビザ)を申請します。
査証の手続きは本人が行う必要があるため、コミュニケーションをしっかりとっておきましょう。
発行された査証と在留資格認定証明書をもって日本へ入国し、在留カードは入国の際、空港で受け取ります。
入国後は住民登録など生活を整える必要があるため、企業としてしっかりサポートしましょう。
なお、証明書の有効期限は交付日から3ヶ月です。この期間内に手続きをして入国する必要があります。
当事務所のサポート内容
ふじもと行政書士事務所では、在留資格認定証明書の申請について以下のサポートを提供しています。
事前相談・要件確認
- 在留資格該当性の判断
- 必要書類のご案内
- 申請戦略のご提案
書類作成・申請代行
- 申請書の作成
- 理由書の作成
- 入国管理局への申請代行
アフターフォロー
- 審査状況の確認
- 追加書類対応
- 許可後の手続きご案内
在留資格認定証明書の申請は、外国人雇用の最初の関門です。
適切な準備と正確な申請により、スムーズな許可取得を目指しましょう。
ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
貴社の外国人雇用を全力でサポートいたします。
ふじもと行政書士事務所
代表行政書士 藤本絵里子
所在地:兵庫県西宮市
専門分野:外国人在留資格申請・会社設立・各種許認可
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